ホームセンターでよく見る『2×材』。
DIY趣味の方には馴染み深い材料となるでしょう。
ただ、DIYを始めたばかりの方は『2×材』が何でこう呼ばれているのか。
そもそも『2×材』が何のことかもわからない方もいるんじゃないでしょうか?
そこで今回は、『2×材』について初心者でもわかるようにお話ししたいと思います。
2×4工法
『2×材』は『ツーバイザイ』と読みます。
そしてこの2×材の名称は、杉やら桧やらの樹種を示しているのではなく、木材の規格を表しているものなのです。
では、なぜ木材の規格で呼ばれるのかと言うと、この規格の材料が2x4工法(木造枠組壁工法)に使用される基本構造材だからです。
2x4工法は、パーツを『面』で組み立てていくもので、窓が必要な場合は面の一部をくり抜いて窓を設けていきます。
出典:https://suumo.jp/article/oyakudachi/oyaku/chumon/c_knowhow/mokuzo_jutaku/
木造住宅にはこの他の工法に、「木造軸組工法(在来工法)」というものもあります。
これは、柱・梁といった、いわば『線』で家を組み立ていく工法となります。
2x4工法と違い、増改築が容易で使用する木材によって予算も柔軟に調整できます。
出典:https://suumo.jp/article/oyakudachi/oyaku/chumon/c_knowhow/mokuzo_jutaku/
規格について
2×材は2×4材や2×8材等の総称になります。
ではそれぞれの規格はどのようなものなのでしょうか?
勘の良い方なら「名称がそのまま実寸法となっている!」と気づいたかもしれませんね。
そして、アメリカの建築で使用されているものなので単位がインチとなります。
1インチ=25.4mmです。
つまり、2×4材は50.8mm×101.6mmとなります!
・・・嘘です。なりません。
2×4材の寸法は、約38mm×89mmです。
全然呼称寸法と実寸法関係ないやんけ、、、と裏切られた気分になるでしょう。
なぜ呼称と寸法が違うのかについては色々な事が言われています。
一番よく見るのは、丸太からの製材寸法が呼称にあたる寸法であり、収縮により縮むからと言うこと。
縮んだ結果、2×4材の寸法は、約38mm×89mmくらいとなるということです。
つまり、材木屋側の問題と言うことになります。
しかしこれでは、5歳児の女の子に
「ボーっと生きてんじゃねーよ!」
と喝を入れられるでしょう。
収縮だけであるなら、それを考慮して大きめに製材し、収縮しても寸法が2インチ×4インチ取れるようにすればいいですよね。
そもそも、2インチ×4インチの材料をくれと言っているのにそれ以下で納品してきたらクレームものですよ。
実際、2×材の 導入当初は実寸法を見て歩切れの粗悪品と批判を浴びていたそうです。
収縮が原因ならここまで普及していないでしょう。
そもそもこの規格は、「NLGAルール」という米国や日本で正式に認可されている規格に基づいています。
そんな雑な規格を国が認めるものでしょうか。
つまり、 実寸法と呼称寸法の違いは意図的であり、北米の合理的かつ効率的な考えが色濃く反映されているのです。
理由は、
「 特定の2×材から1/2の呼称寸法材料を2つ製材したいから~」
です。
例えば、2×8材から2×4材を2つ製材したいのです。
いやいやちょっと待ってくれ。
それなら、8インチのものから4インチの寸法のものも2つ製材できるんじゃないの?
と疑問に思うかもしれませんね。
数字的にはそうなのですが、実際の現場では不可能なのです。
材料を切る際には、刃の厚み、直線の精度、また切ったことによる材料の反りを考慮しなくてはいけないのです。
これらの原因で実寸法の1/2サイズの材料を2つ製材することはできません。
しかし、2×材はどうでしょうか?
2×材の寸法を見てみましょう。
名称 | 呼び方 | 乾燥材の寸法 |
1×4 | ワンバイフォー | 19mm x 89mm |
1×6 | ワンバイシックス | 19mm x 140mm |
1×8 | ワンバイエイト | 19mm x 184mm |
1×10 | ワンバイテン | 19mm x 235mm |
1×12 | ワンバイトゥエルブ | 19mm x 286mm |
2×4 | ツーバイフォー | 38mm x 89mm |
2×6 | ツーバイシックス | 38mm x 140mm |
2×8 | ツーバイエイト | 28mm x 184mm |
2×10 | ツーバイテン | 38mm x 235mm |
2×12 | ツーバイトゥエルブ | 38mm x 286mm |
2×8の幅は2×4の2倍以上で6mm程大きくなっています。
この大きくなっている分が半分にした時のロスと考慮され、2つの材料が製材できるのです。
この様にこの規格であれば、工程管理も容易であり材料も無駄なく使えるのです。
またそれぞれの実寸法の近似値を求める式もあるようです。
6以下:((n(インチ)-1)+1/2)×25.4
8以上:((n(インチ)-1)+1/4)×25.4
この公式を覚えておくと計算で近似値が出るそうですが、今はスマホで一瞬で調べられるので、覚えたい人だけ覚えればいいのかなと思います。
ホームセンターで売っている2×材の樹種
2×材の樹種は様々です。
しかし、ホームセンターでよく見られる樹種と言えばやっぱりSPFでしょう。
S:スプルース
P:パイン(松)
F:ファー(もみ)
の略称になります。
全てマツ科の針葉樹になります。
これだけ聞くと、SPFが3種類の集成材のように勘違いされる方もいるかも知れません。
しかしそういうわけではなく、この3種のどれかですよってことです。
NLGAルールにおいても、SPFという樹種群を1つの樹種として扱っているため、SPFが入り混じった樹種の材木と知らなかった人もいるのではないでしょうか。
なぜ樹種が入り混じっているかと言うと、製材時、3種類を一緒に機械にいれ、仕分けしないまま販売するからです。
SPFは樹種混交の形で生育しており、強度特性も非常に似通った範囲に分布しています。
そのため、通常は樹種ごとの区分は行わず製材されて流通しているからです。
この仕分けコストが削減されているので、安価で購入できるのですね。
まとめ
2×材は規格の材料なのでホームセンター等でお手軽に手に入ります。
DIYをやる方には心強い材料になるでしょう。
せっかく材料として使うものなので、少しでも理解を深めておけばきっとより良いものが作れると思いますよ。
参考・引用文献
カナダ林産業審議会SPFグループ 『SPFが支える日本の木造建築』
スポンサーリンク
コメント