染料と顔料の違い

木工のあれこれ

着色剤の種類には「染料」と「顔料」があります。
そして現在は、木材の着色剤には顔料が主流となって使われています。
しかし、顔料が主流ではあるにしても染料を使って着色する場合も全然あります。
では、これらの着色剤の違いは何なのか?
今回はそれについて解説していきたいと思います。

染料と顔料の性質の優劣

染料も顔料もどちらも着色剤であるため、色を付けるという性質は変わりません。
しかし、この色を付ける過程や仕上がり等に違いが出てくるのです。
そこで染料と顔料の性質の優劣を表にまとめました。
比較して優勢だと考えられる方に◯がつけてあります。

 染料  顔料 
溶解性
浸透性・透明性
 色むらの出にくさ 
耐光性
色の種類

この優劣の違いが染料と顔料の違いですね。
つまり、水に溶けやすく浸透性・透明性があるのが「染料」。
耐光性や色の種類(白色)があり、扱いやすいのが「顔料」となります。

その他の着色剤

染料、顔料以外にもう1つ着色剤の種類があります。
それが薬品着色剤です。
タンニン反応や漂白での化学反応を利用した着色の方法となります。
漂白はかなすじや偽心等の欠点を目立たなくするときの処理や、木目を残したまま白色に近い色にする場合に使います。
ただこの着色は、化学反応により色が決まるので、色の選択の自由度はかなり小さくなりますね。

栗の木のタンニン反応での黒色の着色↓↓

木材の着色剤として望ましい条件

一般的に木材の着色剤として望ましい条件は次の通りです。

①透明性が優れて、きれいな色を持っていること。
②耐久性及び、耐光性がいいこと。
③着色が均一なこと。
④木材内部まで着色できること。
⑤速乾性があること。
⑥作業性が良い
⑦着色、着色後の工程に悪影響を及ぼさないこと。

これらの条件は作る作品によって優先順位が変わってきます。

どっちを使えばいいの?

どっちを使えばいいのかと言うと、ケースバイケースです。
木目を綺麗に出したい作品であれば、染料が適していますし、外で使う作品であれば顔料の方が適しています。

作る作品や自分の腕、仕上げ方等を総合的に判断して選ばないといけないのです。

最近では顔料の研究により、染料の透明性に近づいてきており木目もある程度出ますが、やはり染料の方が木目も出ますし、着色後に鉋掛け・ペーパー掛けもできるので作品はきれいに仕上がるのかなと私は思います。

動画は桧を染色したものらしいですが、中までしっかり色が着いていますね。

DIYでは顔料が主流

染料は浸透性の差で色むらができたりと、着色するにもある程度の技術が必要になってきます。
また耐久性や白色等がない等の欠点があります。
そんなこともあり、DIYでは顔料がメインで使われることが多く、ホームセンターで売ってる着色剤も顔料が多いです。

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出典・参考・引用文献

『染色木材 IRODORITAIとは?』 中村ツキ板 http://tsukiita.jp/publics/index/41/

基太村 洋子 『木材及びその成分の染色性と染料溶液の浸透性』 森林総合研究所研究報告 1994年3月 367号 p.1-52 https://agriknowledge.affrc.go.jp/RN/2010490939

今田 邦彦 『染色技術者のための染料化学 (その10)』 繊維機械学会誌 2003 年 56巻 10号 p. 427-431 https://www.jstage.jst.go.jp/article/transjtmsj1972/56/10/56_10_P427/_article/-char/ja

峯村 伸哉 『木材を着色するには』 北海道立総合研究機構 林産試だより 1982年 2月号 https://www.hro.or.jp/list/forest/research/fpri/rsdayo/17560008001.pdf

山科 創 『漂白』 北海道立総合研究機構 林産試だより 1982年 8月号 https://www.hro.or.jp/list/forest/research/fpri/rsdayo/17560045001.pdf

松下 力 『木工塗装』 材料試験 1959年 8巻 64号 p.62-71 https://www.jstage.jst.go.jp/article/jsms1952/8/64/8_64_62/_article/-char/ja

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