オーダーで作ってもらった家具を壁に直接取り付けるもののことを造作家具と言います。
言葉だけ聞くと、ビスを打ち込んでちゃっちゃと終わりそうな感じがしますが、そうは問屋が卸しません。
大物家具の場合はどうやって家の中に入れ込むのか?
ビスを打つ壁の中身はどうなっているのか?
取り付けた後の隙間はどうするのか?
etc…
と様々な問題があります。
特に隙間は、十中八九できてしまうのです。
家って実は皆さんが思っているよりもぐにゃぐにゃなんですよ。
直線も出ていなければ矩手(直角)も出ていません。
造作家具においての現場作業の大部分はこの隙間を埋める作業に時間を割かれることになります。
隙間を埋める方法としては、シーリングがあります。
洗面所やお風呂、キッチンなんかで目にすることがあると思います。
ただ木製品で使うと少しかっこ悪いんですよね。。。
しかも、引越しをするといった時も取り外しはめんどくさいものになります。
そこでみんなはどうしているのかと言うと、製品のぶつかる箇所を削っていき隙間をなくします。
しかし、天板なんかであれば小口を削ることによって形を整えられますが、側板なんかは削る量が多すぎて時間がかかりすぎます。
そこで、その場合は自身でフィラーという隙間材を製作して取り付けることによって解決しています。
これは、フィラーを取り付ける前の家具の写真です。
そして、フィラーを取り付けた写真がこれです。
家具の右側にフィラーが取り付けてあります。
ちなみにフィラーは、角材に突板を張り付けて作ってあります。
これの作り方も工房によってそれぞれあるとは思います。
この状態で壁に当ててみます。
案の定隙間があるので、この隙間をなくすために削っていきます。
「え?結局削るの??」と思うかもしれませんが、削ります。
残念ながら、前もって壁の形に削っておくということはほぼ不可能なのです。
しかしフィラーを付けたおかげで、突板の厚みを削るだけで済みます。
もしフィラーがなかったら、この家具の側板幅290mmを削って調整する必要があります。
相当めんどくさいですよね(笑)
かかる作業時間は天と地ほどの違いが出てきます。
時間がかかるほどお客さん宅にも迷惑がかかるので、作業時間の短縮は現場作業で考えなければいけないことなのです。
フィラーの調整方法はいたってシンプルです。
壁に当ててどこに隙間が空いているかを確認したら、鉋で削って隙間をなくしていきます。
この時目視で隙間を削っていくのもいいですが、削る墨があると楽ですよね。
そこでちょっとした小技を紹介しておきます。
まず、フィラーと壁との間の最大の隙間がどれくらいか確認します。
次にその隙間以上の厚みのあてを用意します。
あてを壁に沿わせて線を引いてあげます。
すると、壁の形を生捕ることができます。
この墨線を見ながら削れば見事壁の形のフィラーの出来上がりです。
これがフィラーです。
作業時間も圧倒的に短縮でき、全体の見栄えもよくなる優れものです。
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