どうも。
世界88万人の裏表がないみなさん。

「木にだって“表”と“裏”がある」
そう聞いて、「へぇ〜、木も人間っぽいな」って思ったアナタ、木工のセンスあります。

実はこの“木表(きおもて)”と“木裏(きうら)”、木工の現場ではけっこう大事なキーワード。
作品の反り具合や、木目の出方、時には寿命にまで関わる…いわば木の性格みたいなもんです。
今日はそんな“木の表情”について、べしゃってみましょう。
木表と木裏って何?
木材は、丸太を板に製材することで得られます。このとき、外側(樹皮側)にあたる面を「木表(きおもて)」、内側(幹の中心側)にあたる面を「木裏(きうら)」と呼びます。
- 木表:丸太の外側に近い面。乾燥によって外側に向かって反りやすい。
- 木裏:丸太の内側に近い面。乾燥によって内側に向かって反りやすい。

これらの反り方の性質を理解していないと、完成した作品が後々反ってしまったり、変形してしまう原因になります。
木をどう使うかは、木のクセをどう読むか——その第一歩が「木表・木裏」の見極めなのです。
木表と木裏の見分け方
「で、どっちが木表で、どっちが木裏なの?」と思った方。
見分けるためのいちばんシンプルで確実な方法は、木口(こぐち)を見ることです。
木口とは、板の切断面=年輪が見える側のこと。
この木口に注目すると、年輪のカーブで木表と木裏を判別します。
- 年輪が 外側(たけのこ状)に広がっている面が「木表」
- 年輪が 内側に向かってすぼまっている面が「木裏」
つまり、木口のタケノコが上を向いている側が木表となり、その逆が木裏となります。
そして基本的、木表側は板が全体的に外に反るように曲がり、 逆に木裏側から見ると、内側にすぼまるような面となります。
※個体によっては、木裏側に反ることもありますのて、あくまでセオリーとして覚えてください。

木表と木裏の特徴と使い分け

◆ 木表(きおもて)の特徴
- 丸太の外側(樹皮側)にあたる
- 乾燥時に外側に反る傾向がある
- 手触りが木裏と比較してやさしい
◆ 木裏(きうら)の特徴
- 丸太の内側(心材側)にあたる
- 乾燥時に内側に反る傾向がある
- 針葉樹の場合、木裏はささくれが出やすい
- 木裏は白太が出にくく、見た目が安定しやすい
用途によって異なる、木表と木裏の使い方
木表・木裏の使い分けは、用途や使う木の種類によって大きく変わってきます。
▶ 家具職人の場合

- 広葉樹を使うことが多いため、木裏を見付面に使うことが多い。
- 板接ぎの場合、反りを相殺させるため木表と木裏を交互に使うことが多い。
- 見た目が重視されるため、白太が出ないように木裏を見付面に持ってくる場合がある。
- 反り方向を考えて、設計を考える。
▶ 大工仕事の場合

- 針葉樹を使うことが多く、木表を見付面に使うことが多い。
- 木裏はささくれやすいため、木表を表に使うことで安全性と仕上がりを両立できる
どちらの面を“表”に使うかは、「その木」と「その場所」によって変わる。 木を知り、木に合った使い方を選ぶのが職人の技なのです。
コラム:木の看板は「木表」が表
木の看板を作るとき、『“表”にくる面は木表(きおもて)』にするのが昔からの作法です。
その理由は、技術的なものだけではありません。
看板は、お店の“顔”。
木を人に見立てたとき、「裏側──つまり木裏を向けるのは、なんだかそっぽを向いているみたいで、ちょっと失礼な感じがしませんか?」
お客様に正面を向けて、まっすぐ迎え入れる。
そんな想いが込められています。
木の表裏ひとつにも、心配りと意味がある。
職人の目は、そんな小さな違いを大切にしているのです。
それが、木とともに生きる仕事の面白さでもあるのです。
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