どうも。
世界40億人の木工好きのみなさん。
みなさんは普段料理をしたりするでしょうか?
筆者は腕前がどうかは置いておいて料理はします。
ちなみに得意料理は目玉焼きです。
そして、
料理を作るからには、おいしく作りたいと思うのが人の性でしょう。
有名料理店なんかだと、お店秘伝の”隠し味”を入れることもありますよね。
筆者も調子に乗って隠し味を入れたことがありますが、隠し味がなかなか隠れてくれず、別の食べ物になったことがあります。
素人が適当に隠し味を入れても、ダークマターを量産するという結果になることもしばしばでしょう。
ただ逆に言えば、適切な隠し味であれば料理のランクを上げることができるというわけですよ。
その手段を私たちは知らないだけなのです。
さて、
ここまで話してきましたが、木工においても作品をワンランク上げる”隠し味”なるものが存在します。
ただ残念ながら、パッと見だけでは作品に使われているのかの判別はできません。
なんてったって”隠し”ですからね。
それ故、木工所で修業してないと方だと知らないという方が多いです。
しかし、この隠し味を加えるかどうかで作品の質は大きく変わります。
それはつまり、クレームの件数も大きく変わってくるというわけで。
そして今回は、
隠し味の中でも、技術も道具も何もいらない『シーズニング』という技をお話したいと思います。
無垢材の一番の敵は木の反りです。
これは地球に住んでいる限り、どう足掻いても起こる現象です。
そのため木工品とは、木材の動きを考慮しつつ、その動きを最小になるように設計をします。
隙間をわざと開けたり、反り止め部材をつけたりがよく見る例です。
そして、反りを最小に抑える手段の一つが『シーズニング』なのです。
木工をやっている方だとご存じだと思うのですが、大幅な厚みや幅を昇降盤や自動カンナ等の機械で切削して平面を出したとしても、時間が経つにつれ反ってきてしまいます。
これは、熱が加わったり、力の均衡が崩れるせいなのですが。
しかしこれ、よく観察してみてください。
反ってしまった部材をそのまま放置するとどうなるでしょうか?
ある日を境に逆側に反ってくる
・・・なんてことはありませんよね。
一度反った状態からほぼ形を変えることはありません。
つまり、この状態ではこの時の形が一番安定していると考えられるわけです。
ここから、最小限の削りで平面を出してあげれば反りも少なくなるような感じがしませんか?
つまり、仕上げ寸法よりも多少大きい寸法でわざと反りを出した後に、仕上げ寸法に持っていく。
これが今回のお話の『シーズニング』です。
この一手間を加えるだけで、作品完成後の反りも最小に抑えることができるわけです。
では、シーズニングの方法については例を交えながら改めて。
例えば厚み20mmの部材が欲しい場合どうしていけばいいでしょうか?
まずは木取りする材木を決めます。
この時寸法に近い薄い材木があればいいですが、凡庸性から30mm以上の材木を仕入れている方が多いと思います。
そうなると、10mm以上も削るわけです。
これをシーズニングもせずに成形すると、間違いなく反ります。
そのため、一度部材を22~23mmで厚みにします。
この時、厚みに幅があるのには理由があります。
木は同じ個体からとっても、その部材によって反りの大きさが違います。
また、長さ200mmのものと2000mmのものでは平面にするために削る量は変わってきますよね。
シーズニングして反った部材は、改めて削って平面にする必要があるわけです。
つまり、プラスした値で反りを直せる最小値を予想してシーズニングする必要があります。
+2~3mmとしていますが、自分の技術や材木の状態を鑑みて3mm以上にする必要も出てくるわけです。
そして、22~23mmの部材が出来上がったら部材をシーズニングします。
この時置き方は両面の板目が均等に空気に触れるようにしましょう。
つまりこうです。
木表と木裏どちらかが隠れないようにした方がいいです。
スペースの関係で難しい場合はしょうがないですが。
これを1週間程放置して、安定させるのがセオリーです。
しかしそんなに待ってる時間もないので、1~2日放置して作る方が多数だと思います。
実際、筆者の修行先や知り合いの家具職人の方もこんなもんでした。
ただし、木の乾燥具合・作る商品によっては1週間程放置することもありますので、結局はケースバイケースと言うことを忘れずに。
これでシーズニングは完了です。
手間はかかってしまいますが、非常に簡単ではないでしょうか?
ただ見た目にも出るものではないので、自分の裁量でやるかどうかを決めるものになってくるとは思います。
とは言っても、「知っているけどやらない」のと、「知らないからやらない」のとでは大違いですからね。
木工職人は腕だけではなく、知識も大事と思うわけです。
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