突板家具とは?無垢家具との見分け方

木工のあれこれ

世間一般的に、突板家具は安価で粗悪なもの、無垢家具は高級でいいものというイメージがある方が多いと思います。

しかし私の経験上、素人の方で突板家具と無垢家具を見分けれる人はほぼいません。
しかもひどいのが、家具を売っている販売員でさえ突板を無垢家具ですと間違って説明していたと話に聞いたことがあります。

このようなことが起こるのは、価格だけで家具を判別しているから起こることなのでしょう。

そこで今回は、突板とは何なのか?また無垢家具との見分け方をお話ししたいと思います。

突板とは

ちなみに、突板は『つきいた』と読みます。

突板とは、木を薄くスライスして合板に張り付けたもののことを言います。

スライスした木の厚みは0.2~0.6mmのものがあり、厚みが厚いほど値段が高くなります。
日本では0.2mmが主流でしょうかね。

ここでわかるかもしれませんが、本物の木をスライスして貼り付けているので見た目だけでは見分けるのが難しいんですね。

突板家具の材料の作り方(突板合板)

先日、仕事で突板家具を作ることがあったので私のやり方ではありますが簡単に突板家具の材料の作り方を見ていきましょう。


作り方は簡単で、お好みの厚みするために突板を接着していくだけです。

まずは、突板合板がネット等で売っていますのでそれを使います。
突板合板とは、突板シートを合板に張り付けたものです。

厚みは2.5mm~色々な厚みが売っています。

では、材料20mmの部材を作りたい場合はどうすればいいでしょうか?

勘のいい方ならわかるかもしれませんね。


突板合板×2の厚みを引いた厚みの基盤材に張ればいいのです。
2枚分となるのは、裏表に張り付けるからですね。
例えば2.5mmの突板合板の場合は、15mmの基盤材に張っていきます。

基盤材は、MDFやランバー、合板がよく使用されます。

接着方法はボンドをつけて1日プレスするだけです。

ちなみに、ボンドが厚すぎても薄すぎても接着不良を起こしますので気をつけましょう。

突板合板がうまく接着出来たら、幅と長さを部材の指定の寸法に切ります。
この時注意するのが、『仕上げ寸法 – サイドに張るエッジ材の厚み』の寸法で切るということです。

例えば、2mmのエッジ材を四方に張る場合は4mm引いた寸法で切っていきます。


寸法に切ったら、面材を速乾ボンドスプレーを吹きかけるか、ボンドで圧着します。
最後に、エッジ材の目違いを払えば部材の完成です。

突板家具の材料の作り方(突板シート)

突板シートもネットで売っていますので、突板シートから材料を作ることもできます。
突板シートから作ると、突板で模様を作ることができるというメリットがあります。
下の写真は私が訓練校時代に作った家具です。

この鏡板は突板から作ったものです。
このようなちょっとした模様なら、素人でも全然できます。

では、作り方を簡単に見ていきましょう。

この時使った材料としては
・突板
・MDF(基盤となるもの)
・酢ビ
です。

まず、突板の接着面になる側にボンドを塗って1度乾かしておきます。
これは、突板をカッターで切ったときにガサガサになるのを防ぐためです。

無事にボンドが乾いたら、カッターで突板を好きな形に切っていきます。
そして、基盤となるMDFにボンドを塗って突板を張っていきます。

最後に、突板とMDFはアイロンを押し当てて接着させます。
すると、無事に接着できて完成です。

今回は酢ビで接着させていますが、アイロン専用接着剤なるものも売っているそうです。
使ったことがないので何とも言えませんが、着きはそっちの方がいいのだと思います。

突板のメリット

では、突板家具のメリットとは何でしょうか?

<消費者>
・価格が比較的安いものが多い。
・重量が軽くなるので、模様替えが比較的簡単にできる。


<製作者>
・突板シートで寄木のような模様が作ることができる。
・無垢よりも反りにくいので、戸が開かなくなるなどの後のクレームが起こりにくい。
・反りについての構造を気にせず製作できる。

突板のデメリット

では逆に、突板家具のデメリットは何でしょうか?

<消費者>
・無垢家具に比べてシックハウス症候群にかかる可能性は高い。
・デザインはのっぺりした家具が多い。
・経年で突板が剝がれてくることがある。
・深く傷がつくと下地が出てくる。

<製作者>
・修理が難しい。
・作業工程が思ってるよりも多い。
・製作中は傷がつかないように注意しながら製作する必要がある。
・木目による作家の個性が出せない。
・ディティールが限られてくる。

突板家具と無垢家具の見分け方

さっそくですが、この下の写真の家具には無垢と突板が含まれています。
どこが無垢で突板かわかりますか?

正解は、赤丸で囲った部分が突板です。

どうでしょうか?
見分けるのが結構難しいですよね。

ただ、見分ける基準と言うものは一応あります。
そこで、素人の方にも基準となる見分け方を見ていきたいと思います。

①同じ木目が連続して並んでいる。

突板は薄くスライスした材料を張り合わせています。
そのため、同じ木目が連続しています。

ただし注意したいのは、全部の突板がそうであるわけではありません。
同柄が並ばないようにランダム貼りをして解消してある突板もあるからです。

②木口や木端面にエッジ材が張られている

突板家具の材料の作り方を知っていればわかりますが、突板家具だとどうしても木口や木端面をエッジ材で隠す必要があります。
そのため木口が存在しなかったり、木端面から板目に延びる木目がつながっていなかったりします。

③叩くと中身が入っていないのがわかる

これはフラッシュ構造になっている突板の場合ですね。
中が芯材だけなので、叩いた時に中身が入っていない音であれば無垢ではありません。

④軽い

これは無垢家具に触れたことがある人しかわからないかもしれませんが、無垢家具と比較すると軽いなと感じるものです。
基盤がランバーや合板となるので無垢より軽くなるのです。

ちなみに

突板合板に似たものでプリント合板と言うものがあります。

プリント合板は名前の通り、木目を印刷したものです。
格安で売っている家具のほとんどがこのプリント合板で作られた家具です。

プリント合板と無垢の見分け方も突板と同じですが、突板と違ってインクで印刷しているだけなので表面の凹凸感がなく手触りも木の手触りではないのですぐに見分けることができます。
ただし、最近の技術の進歩で凹凸感のあるプリント合板も出てきているようです。

まとめ

今回は突板について色々と見てきました。

正直製作者側からの意見としては、突板家具は作っていてあまり楽しいものではないです。
なんか工場仕事感が一気に出てきて、、、

ただ、突板シートを使った模様の製作は自分のデザインの幅が広がるのでいいのかもしれません。
突板シートの取り扱いは訓練生でもできるものなので、DIY初心者でも全然活用できるものだと思いますよ。

突板について知ると、より自分のデザインの幅が広がると思いますので興味のある方は是非取り入れてみてください。

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