木工素人が「家具職人になろう!」と思った時にやることは『家具職人 なる方法』とググることでしょう。
実際に私もそうでした(笑)
そうすると候補の1つに挙がってくるのが、職業訓練校(以下訓練校)です。
ただ詳しく調べると、訓練校上りの職人に対してネガティブな意見が見られたり、そもそも行くメリットが雇用保険がもらえる等のその場だけのメリットしか見つかりません。
これらだけ見ると、「木工塾や弟子入りした方がいいんじゃないか?」という気持ちが強くなるでしょう。
確かに木工の腕を上げたいだけなら、そっちの方が正しい道なのかもしれません。
しかし、家具職人として独立してやって行きたいと考える初心者なら、訓練校は選択肢としてありだと思います。
そこで訓練校の卒業生である私が、なぜ訓練校は候補になるのかを入学方法と共に解説したいと思います。
訓練校で私が作った作品も紹介しているので、授業の雰囲気もイメージしやすいと思います。
検討している方は、ぜひ読んでみてください。
職業訓練校とは
そもそも、訓練校を知らない方のために簡単に説明します。
訓練校は、求職者が就職するために技術や技能を学ぶ学校です。
その訓練校の中に、家具を学べる学科があるのです。
ただ残念ながら、47都道府県全てに家具の訓練校があるというわけではないですし、廃校になってしまった所もあるようです。
2021年で家具を学べる訓練校を調べてみると、18校見つかりました。
リンクと共にまとめておきますので参考にしてください♪
北海道立旭川高等技術専門学院 造形デザイン科
北海道立北見高等技術専門学院 造形デザイン科
宮城県石巻高等技術専門校 木工科
富山県技術専門学院 木材加工科
埼玉県立川越高等技術専門校 木工工芸科
東京都立城東職業能力開発センター(足立) 木工技術科
東京都立城南職業能力開発センター(品川) 木工技術科
神奈川県かなテクカレッジ西部(西部総合職業技術校) 木材加工コース
長野県上松技術専門校 木工科/木材造形科
岐阜県立木工芸術スクール 木工科
奈良県立高等技術専門校 家具工芸科
和歌山県立和歌山産業技術専門学院 デザイン木工科
北大阪高等職業技術専門校 インテリア木工科
岡山県北部高等技術専門校 木工・デザイン科
愛媛県立宇和島産業技術専門校 住まいづくり木工科
福岡県立田川高等技術専門校 木工家具科
佐賀県立産業技術学院 木工芸デザイン科
鹿児島県宮之城高等技術専門校 室内造形科
これらは私が見つけられたものだけなので、他にも家具を学べる訓練校があるかもしれません。
抜けていたらすいません。
訓練校への入校方法
さて、訓練校のある場所を知ったら次に出てくる疑問が入校方法です。
入校方法は次の様な流れが基本です。
①入校願書をもらう
訓練校の指定配布場所にて入手できます。
県内のハローワークでも入手できますし、訓練校に連絡すれば送付もしてもらえるみたいです。
雇用保険をもらおうと思っている方は、雇用保険の手続きの時にハローワークで話せばその時に貰えると思います。親切な職員だと、過去問も一緒にくれます。
②オープンキャンパスへ参加する
おそらくオープンキャンパスが定期的に開催されているので、迷っている方は参加してから入校するか決めましょう。
現在訓練校に通っている生徒や先生に会えるので、気になることは聞いておきましょう。
私の同期にはオープンキャンパスに参加していなかった人もいたので、参加しないと合格できないというものではなさそうです。
③願書を提出する
申し込み期間内に願書を訓練校へ提出します。
④入学試験を受ける
私の時は筆記試験と面接がありました。
筆記試験は一般常識問題なので、難易度はそれほど高くないですが、一度過去問は解いておいた方がいいと思います。
面接は熱意を伝えれば大丈夫だと思います。
⑤合否を確認する
合格していれば晴れて入学することができます。
倍率は年度によって変わってくるので何とも言えませんが、全くの木工未経験の方が受かりやすそうな印象はありますね。
まぁ、未経験者を就職させるためにある学校なので当たり前なのかもしれませんが。
大ざっぱですが、これが入学までの流れです。
そして、私的に願書提出前に認識しておいてほしいことがあります。
それは、それぞれの訓練校で授業内容が異なるということです。
つまり、箱物ばかりが製作課題となっており、卒業まで一切脚物を製作しない学校も普通にあるのです。
脚物をメインで作りたかったのに、、、と入学後に後悔することは十分起こりえます。
そんなことにならないためにも、願書提出前に授業内容について訓練校に問い合わせたり、ハローワークで話を聞いたりとよく調べてから自分にあった訓練校を選ぶようにしましょう。
年齢制限はないの?
年齢制限はある学校とない学校があります。
制限ありの場合は30歳以下だったりします。
制限がない学校の場合は、やる気さえあれば何歳でも大丈夫だと思います。
自分の同期には71歳の殿方もいましたからね。
学校にいる先生よりも年上でした(笑)
ちなみに一番若い子だと、高校卒業で入学する18歳ですね。
自分の時はクラスに4人程いました。
訓練校に行くのに掛かる費用は?
私は、埼玉県立川越高等技術専門校(以下川越訓練校)に通っていたんですが、実際に通うのに掛かった費用は約15万円です。
項目 | 金額 |
---|---|
授業料(1年間) | 118,800円 |
作業着類 | 10,650円 |
教材 | 11,988 |
保険(1年間) | 8,300円 |
合計 | 149,738円 |
授業料は前期と後期の2回に分けて納めてます。
そのため、前期中に学校を辞めて就職することになれば、人によっては半分の授業料で済むということです。
項目の中に保険がありますが、加入は任意です。
作業着類も入学説明会に来ていた業者から購入しました。
保険に加入しなかったり、ワークマン等で作業着を購入すればもっと安く抑えられると思います。
そのためか、保険もクラスの1/3くらいしか加入してなかったと思います。
ただ作業着については、クラスで同じもの方が一体感や思い出なんかになるかもしれませんね。
学生の頃のクラスTシャツみたいな感じですね。
それと工具類一式は、各々に貸し出してくれるので購入の必要はありません。
また交通費がかかると思うのですが、私は雇用保険から交通費の支給があったので一切かかりませんでした。
この様に、私的にはかなり少額で木工の勉強はできたと感じています。
調べてもらえばわかるのですが、木工塾に行くよりも断然安いんですよ。
しかも、社会人から職業訓練生になった人なら1年間雇用保険が貰えるので実質プラスですしね。
授業内容(川越訓練校)
授業内容は訓練校ごとに異なってくるので、私が行っていた川越訓練校の内容についてです。
授業は、木工工作法などの座学、実際に作品を作る実技、木の伐採やIFFT等の木工に係るイベントへの参加です。
座学や実技内容は基礎の基礎となっているため、経験者や知識がある人には物足りない内容だと思います。
私は初心者だったので勉強になりましたが。
ちなみに、川越訓練校の授業の課題の中では脚物家具を一切作りませんでした。
「脚物をやりたい!」という方は、川越訓練校を選択することはあまりおすすめじゃないです。。。
ただ、無垢をずっと作ることはできましたね。
聞いた話だと、こんなに無垢ばかりやるのも全国の訓練校でも珍しいらしいです。
また、訓練校にて私が作った作品の写真が残っていたので載せておきます。
9月ごろまではずっと木枠ばかり作ってました。
これは、埼玉県が建具の町で講師の先生も建具職人が多いからなのかなと思います。
そうは言っても、半年近くも木枠を作り続けることについては不満でしたね。
基礎なんでしょうが、やはり自分の作品を早く作りたい!と言うのが多くの生徒の気持ちでしょう。
他の訓練校だと違うのかもしれませんが。。。
着色やフラッシュも製作しますよ。
木枠の課題後は、自分の製作スピードによって作れる作品数が変わってきます。
私は課題の途中で色々脱線していたので、作品数は少なかったかもしれません。
脱線とは何をやっていたかと言うと、道具屋で買ってきた道具を仕立てたり、組子を作ったりですね。
将来を考え、課題と同時並行で色々やっていました。
他にも、自由参加の訓練校主催のワークショップ用の作品を考えて作ったりもしましたね。
その時の様子も別の記事でまとめているので、よかったらどうぞ↓↓
鳴り響け!バードコール🐤【DIY】
また、私が通っていた時の年間行事表も残っていたので載せておきます。
緑のラインが引いてある所は休みの日です。
ちゃんと夏休みと冬休みがあります。
と言うか、休み多いです(笑)
あと余談ですが、お昼は高校みたいに弁当やパンを売りに来てくれる人がいたので買って食べたりしてました。
弁当を持ってくるのが面倒な人にはありがたかったですね。
これで380円くらいだったと思うので、普通にコスパ良かったですね。
訓練校に行くメリットとは?
訓練校の授業内容が基礎の基礎のため、訓練校上りの職人に対してネガティブな意見も見られるのです。
実際、訓練校の授業受ける”だけ”じゃ何もできないというのはあってると思います。
では、訓練校に行く具体的なメリットは何なのかお話ししていきたいと思います。
授業料が安い
先ほど話したように、授業料が比較的安いです。
木工塾に行くのに金銭的に厳しい人にはありがたいですね。
同期ができる
1クラスに30人くらい人がいます。
しかも年齢はバラバラで、木工レベルが自分と同じような人です。
その人たちと切磋琢磨して木工レベルを上げていけます。
卒業後も、それぞれの就職先のテクニックや治具なんかを教えあえるし、同期が頑張っているのを聞くと自分も鼓舞されます。
同期はライバルであり、仲間なんです。
OBが多い
訓練校を卒業して、独立開業している人はたくさんいますので、OB訪問もしやすいですし、ネットワークも広がります。
独立したことを伝えると、仕事を回してもらえることもあります。
同郷の人にはつい優しくなってしまいますからね(笑)
現役のプロが講師で来る
川越専門校は、曜日ごとにプロの講師が1人教えに来てくれてました。
川越訓練校の常勤の先生は木工会では権威ある方でした。(現在は定年退職されたそうです。)
そのような方と知り合えたり、テクニックを直接教えてもらえます。
また、卒業後も気軽に相談に行けます。
死ぬほど刃を研ぐ
木工を仕事にした場合、刃を研ぐ時間なんて業務中はほぼないですし、研ぎ方も誰も教えてくれません。
その刃研ぎを半日研ぎ続けるのを半年も続けます。
正直辛かったですし、一人じゃ発狂していたでしょう(笑)
ですが同期もいますし、わからない所を一緒に話し合えるんですよね。
結局、1年で綺麗に研げるようになるのは難しいですが、耐え抜いたメンタルと、考える力が付きます。
どうすれば上手くいくか、この考える力が木工をする上で大事になってくるのです。
道具を知れる
木工で使う道具は様々あり、素人の方だと名称も知らないものばかりです。
名称が分からないと、仕事の効率が下がったり、自身で購入する際に不便です。
木工でどういった道具を使うのかを知ることは、自分の技術を上げるうえでも重要になってきます。
自由に使える時間が多い
授業が16時過ぎに終わるので、自分の勉強に時間を多く使えますし、休みも充実しているので自分のメリットになる行動が起こしやすいです。
職業訓練生という身分を活用して、上手くいけば自分のネットワークを広げることができます。
訓練生にしかこない求人がある
訓練校にしか来ない求人もあります。
学校の先生との付き合いや、OBの会社だったりが関係しているんでしょう。
就職が決まったら辞めれる
職業訓練校は就職を支援するための学校なので、就職が決まったらすぐに辞めることができます。
早く就職先を見つけて木工会社で働きたい場合は、メリットと言えるでしょう。
訓練校に行くデメリット
メリットもあれば、やはりデメリットもあります。
授業内容が基礎
授業内容は基礎しかやらないので、木工初心者じゃなければ新しく学べることは少ないと思います。
実際同期に木工をやってきて入学した人がいましたが、つまらなさそうに授業を受けていました(笑)
やる気のない人もいる
色々な理由があるんでしょうが、別に木工がやりたくて入ってきてるんじゃない人もいます。
そういう人には流されないようにしましょう。
まとめ
独立を考える初心者にとっては、木工の基礎とネットワークを広げられるので、良い候補であると思います。
ぜひ今回の記事を参考にどうするかを考えてみてください。
また、「木工の世界に行きたいけど、年齢が、、、」と迷われている方も、せっかくここまで読んだならこれを機に考えてみてください。
年齢制限のない訓練校もあります。
自分の同期には50歳で弟子入りを決意した人もいます。
何より、71歳で訓練校に来ていた方もいたんですよ(笑)
やりたいことに遅いなんてことないと思います。
今日はあなたにとって一番若い日なのです。
人生楽しんでいきましょう!
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