庭に生えている木でスツール作ったよ(GREEN WOOD WORK)

図工の時間

戸建てに住んでいる人だと、庭に木が生えている方もいるんじゃないでしょうか?
庭に木が生えていると面倒なのが木のお手入れ。
隣の家に侵入しないように枝を切ったりしますよね。

この時ゴミとして出てくる枝木。
実はこれを上手く活用して作品を作ることが海外で密かにブームになってきています。

今回はそれにならって、普段ならゴミになる木を使って木工をやってみたいと思います。

グリーンウッドワーク(GREEN WOOD WORK)とは

みなさんはグリーンウッドワーク(GREEN WOOD WORK)と言うものをご存知でしょうか?
生木で木工をすることです。

木工をあまり知らない人は、

「それって普通の木工じゃないの?」

と疑問に思うかもしれませんね。
しかし、普通の木工では生木は使いません。
言い方が紛らわしかったかもですが、生木の”まま”では使わないのですね。

私たち木工家が材木屋から買う木は基本的に、伐採後自然乾燥や人工乾燥で木の水分を十分に飛ばした乾燥された木を買います。

なぜ乾燥された木を使うかというと、加工が簡単で木の動きが少なくなるからです。
木の動きについて詳しく知りたい方は、以前に記事にまとめたのでどうぞ。
↓↓↓
『木材の収縮・膨潤と含水率』

どれくらい動くのか、生木で作ったスプーンを見てみましょう。

これは正面から見た画。

何も変哲のないスプーンです。

そして、これが横からの画。

先っぽが曲がっているのがわかるでしょうか?

これは最初からこの形にしていたとか、友だちのマジシャンにハンドパワーを注入してもらったとかではなく、製作後に自然と曲がっていきました。

同じように作ったスプーンを並べてみると、、、

こんなに曲がってくれれば、逆にお玉みたいで使いやすいのかもしれませんね。
そしてここまで見てわかることは、生木で作ると自分の意図していたデザインには仕上がらないし、最悪割れたり壊れたりすることがあるということです。

そんな生木を使って木工をやるということがどれだけ無謀なことかわかるでしょうか?

まあそんな無謀なことをやるのがグリーンウッドワークなんですけどね(笑)
この大きな木の動きをも利用して構造やデザインに組み込んじゃえ!って感じなのです。
なかなかに豪快ですね。さすが海外発祥。

ちなみに、グリーンウッドワークは専用の道具があります。
これらの道具はネットで購入することができます。

YouTubeには外国の方が製作動画をあげており、「GREEN WOOD WORK」で検索すればたくさん出てくると思いますよ。
本格的に始めたい人は色々見てみると勉強になるかもしれませんね。

スツール製作

そんなグリーンウッドワークで今回私が作る製作物はスツールです。

じゃあ、ちゃっちゃとグリーンウッドワークやっちゃいますか!
と庭に出て私は驚愕しました。

木が一本も生えてません。

・・・

・・・・

・・・・・

『グリーンウッドワーク』 完!!

とんでもない神作でしたね。
まさか、あそこで「野子ギリ男」が裏切るなんてね。

・・・はい。ごめんなさい。

このままだと次回作も期待できないので、何とか庭の木を調達しましょう。

とりあえず困ったときの兄弟子ということで、兄弟子に連絡したら快く庭の木を使わせてもらえることになりました。


また、グリーンウッドワークには専用の道具があります。
自慢じゃありませんが、私はこれらの道具を一つも持っていません。
これらの道具も一緒に貸してもらえることになりました。

さすが兄弟子やでぇ

なんとかシーズン2を始められそうなので、次は打ち切りにならないように真剣にやっていこうと思います。

準備

今回のスツール製作で使う材料はこちら。

樹種は欅です。
こう見ると、海辺にも落ちている流木なんかでも代用できそうですね。
ただ、この写真の木は伐採後すぐの木ではありません。
グリーンウッドワークは伐採してすぐの材料を使うのが基本なのでしょうが、今回の材料は1ヶ月程乾燥させてあります。
下の写真は兄弟子もスツールを作ったのですが、伐採直後の木で作るとどうしても割れや隙間が発生してしまいました。
その経験を活かした結果、やはり多少の乾燥は必要ありと感じたからです。

そうは言っても、自然乾燥は数年、数十年単位でやるものなので、1ヶ月じゃ気休め程度なんでしょうが。

次は製作に使用した道具です。

普段木工をやっていている人でも見たことがない道具があるんじゃないでしょうか。
一番上がドローナイフと言って、生木を削っていくグリーンウッドワーク専用の道具です。

そして下が左から順に、モーラナイフ、ドリルビット、テノンカッターです。

モーラナイフもグリーンウッドワークでしか聞かない道具ですね。
使用用途は小刀とあまり変わらない感じです。

そしてこれは「削り馬」と言います。
生木を削る際にあると便利な作業台です。
使わないときは折りたたんでおくこともできます。

削り馬もネットで売っていますが、数万円となかなかのお値段がします。
ただこの削り馬、図面も販売しています。
また値段も1000円程です。
(参考:図面「折りたたみ削り馬」

木工ができる人なら図面を見ながら、2×材で作った方が安上がりかもしれませんね。

生木の削り

では、さっそく生木を削っていきます。
使う道具はドローナイフです。
手前に引いて木を削っていきます。

簡単にスーッと削れていきます。

乾燥させたとは言え、ほぼ生木であるので柔らかいからでしょう。
とりあえず、材料を自分の描いているデザインになるように考えながら削っていきます。

黙々と削り続け、無事に終了。

渋皮をわざと残して模様にしたかったのですが、あまりうまくいっていません。。。
道具の扱いにもまだ慣れておらず、結構大変な作業でしたね。

ホゾ加工(オス)

ホゾを作ってスツールを組み立てていきます。
グリーンウッドワークは、収縮を利用して木材の接合を強固にするように作るのでホゾ加工で組み立てるのがベストです。

ホゾと聞くと難しいようなイメージを受けますが、グリーンウッドワークにおいてはそんなに難しいものではありません。

まずは墨付けです。

この時大事なのは、ホゾが一直線になるよう意識しておくことです。
こんな感じです。

汚い図なのでどれくらいの人が理解できたかわからないですが、ホゾが一直線でないと組みあがらない可能性があるので注意してください。

墨付けができたら、ホゾになる部分を荒削りしていきます。

荒削りが終わったら、テノンカッターを使ってホゾを作ってしまいます。
手道具のみで作るのがグリーンウッドワークらしいですが、せっかく便利なものがあるなら使うべきだとおじいちゃんが言っていた気がするのでそれに従います。

電動ドリルにテノンカッターを装着して、

ギュンッと回せば、あら簡単。
ホゾの出来上がりです。

入り面もテノンカッターの刃を使って取ってあげます。

かなり部材の形が見えてきましたね。

ホゾ加工(メス)と組み上げ

次にホゾのメスになる部分を妻手側だけ作ります。
墨付けして、

ドリルで穴開けです。

この時勢い余って、貫通させないように気を付けましょう。
所定の深さ近くになったら、半回転だけさせたりと徐々に攻めるのがいいと思います。

穴が掘り終わったら組み立てていきます。

妻手が組み終わったら、長手の穴開けです。
ホゾはインターロッキングにした方が強力になるので、妻手のオスに少しかかるようにホゾ穴を開けます。

穴が開け終わったら、組み立てです。

この組み立てが大変でした。
脚の材料が曲がっていて、組むとこう↓
)≡(
真ん中の貫を支点にして上下どちらかが完全に入らないという事態に。
そのため、クランプで無理やり差し込みました。

補強の意味でもビスを打つ予定だったので、クランプを締めながらビスを打ち込みました。

穴の開いたままだとみっともないので、ビス穴は木栓で隠してしまいます。
これでスツールの骨組みは完成です。

座面張り

最後は座面ですが、座面はアクリルコードで張って行きます。

模様は市松模様にしています。
一つでも間違えてそのま進むと、全部やり直しになるので全集中で編んでいきます。

完成

無事に完成しました!
製作だけで12時間くらいかかりました。
次やればもう少し早くできるとは思いますが。

大変でしたが、納得のいくものに仕上がりました。
特に脚の感じがお気に入りです。

基本的に枝の形を生かして製作しました。
少しワイルドですが、人工的ではなく自然にできた形なので不思議とデザインに不自然さを感じませんね。
何よりも良いのが、自分自身でも同じものは二度と作れない椅子ということです。
世界に一つだけの椅子、、、自然と愛着も湧いてきます。

ただ渋皮を残したことにより、後日ささくれの様に毛羽だってきました。
これが少し気になるかなと。
それが嫌な方は、渋皮を残さずがっつり削ってしまってもいいかもしれませんね。

ちなみに椅子としての使い心地は十分です。
重さもある分しっかりもしています。

兄弟子が作ったスツールと並べてみましたが、やはり印象が違いますね。
また、兄弟子のワークショップでお客さんが作ったスツールも見てみましょう。

お客さんによっても個性が出てますね。
白い座面も綺麗でいいですね。

ちなみに、お客さんの中には木工素人の方もいらっしゃいました。
ワークショップなので真っ直ぐめな枝を使ったり、手助けしたりとしていますが、素人の方に1日で作ってもらったスツールですからね。これ。

もし興味がある方は、色々ご自身で調べて作ってみてください。

自分一人でやるにはちょっとという方は、一度ワークショップに参加してみるのもありですね。
最近日本でも流行ってきているので、ちらほらと色々な地域で開催されてきています。
自分で作っている感、木工感が強いのでとても楽しいと思いますよ。

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